和光市の都市部に残る湧水と斜面林が一体となった身近な環境である「白子湧水群」について、「調査」から「保全」へと発展してきた活動を知ってもらい、更なる理解と保全へのステップとするためのフォーラムを2012年1月28日(土曜日)開催しました。
自然保護協会の会報誌や朝日新聞埼玉版等にも開催が掲載され、みずとみどり研究会の広報もあり、和光市のみならず、千葉県や東京都、神奈川県、埼玉県内、広く各地から90名余の参加があり、大盛況でした。「和光の湧き水」への関心の高まりに改めて驚き、各方面からのご協力に感謝しています。午前は見学、午後は講演等、充実した一日行程で、今後へ繋がる環境保護へ更なるステップとなる大変有意義なフォーラムとなりました。
見学会
午前は、東上線成増駅集合、集まった順に約20名づつ3班に分かれ10時前から出発、昔ながらの川越街道を辿り、新田坂、白子川の白子橋で湧水流入見学、白子宿通り、から、大坂通り、大坂ふれあいの森見学、白子の滝、富沢湧水崖地の礫層と粘土層、その間から湧水が滴る現地見学、様々な湧水の利用形態、桝、タンクやパイプを見学しました。
(ページ下の写真1〜10参照)
講演
小泉教授(東京学芸大学):「武蔵野台地の成り立ちから和光湧水群を考える」と題し、現在の青梅市を要とする多摩川の扇状地の形成、および関東ローム層(火山灰層)の堆積により、台地や谷、湧水のある武蔵野台地が形成された過程が分りやすく示され、その末端部に、氷河期の生き残りとしてカタクリが奇跡的に生き残っている不思議を語られました。
高橋勝緒(当会理事):「和光の身近な自然―湧き水と緑の保全と活用」の講演では、東京に隣接する和光市の地理的特徴、開発と身近な自然の保護の重要性、大坂ふれあいの森や、和光樹林公園、新倉ふれあいの森での幅広い実践例を題材に、活動の柱となる人の輪、和光の特徴と身近な自然の重要性を知り、親しみ、守り、伝える活動を紹介しました。
パネルディスカッション
松本市長から和光市の緑地保全の重要性や取り組みについて、また、高橋基之先生(埼玉環境科学国際センター)から湧水の水質や非常時での飲用としての大切さが述べられました。
高橋絹世(代表理事)からは、自然環境調査から保全へ発展させる過程での試行錯誤や工夫について、都会にある緑と湧き水が一体となった環境の大切さと、地主さんへの感謝を述べました。白子湧水群の環境、歴史、水文化が融合したエコミュージアムの考えを述べました。
飯島氏(理事)の司会で進められたディスカッションで、会場から活発な意見と交流がありました。松本市長も丁寧に答えておられました。小泉教授からは、白子湧水群の地層の見える露頭はここにしか見られない武蔵野台地の重要な証であること。最後に高橋理事からは、東日本の震災から学び、このような市域の地質地形を知ることが、中学や高校で必要との考えが述べられました。
和光市教育長も参加されていて、白子湧水群の身近な自然の学習も取り入れることが大切ではないかとのお話に言及されました。
白子湧水群の重要性は、武蔵野台地末端の特徴的な地層が観察でき、湧水の仕組みの標本として重要なこと。湧き水の会が、行政と市民の中間的なNPO法人の役割を担い、保全と活用を続けていくことの大切さを再確認し、会の活動のステップとしたいと思います。さらなる継続が重要です。
松本武洋市長はじめ、山崎悟市民環境部部長、仲蔦裕嶽環境課長、丸山、蓑和田両氏のご協力を感謝します。また地域の方々にもご協力を戴き活動できることを感謝します。
午前の見学会も寒い中大勢の方が熱心に参加くださいました。その様子をお知らせします。
1. 成増集合 | 2. 約60名3班に別れ出発 | 3.「新田坂」の説明 |
4.湧き水は白子川へ | 5.道路へも流れ出る | 6.ふれあいの森を潤し | 7.源頭域の崖 |
8.タンクに貯めて配管 | 9.最も水量の多い冨澤湧水 | 10.武蔵野台地の標本箱を保全 |
和光・緑と湧き水の会についての問い合わせは、高橋まで