波形



緑と湧水と流れの会 会報 創刊号 2001.8.29
 
緑や湧水について一緒に考えませんか         堀 文雄

   東武東上線や地下鉄有楽町線で成増方面から和光市に入ると、すぐに地福寺・神護寺周辺の斜面の緑が、幸魂大橋方面からは新倉氷川神社からつながる斜面の緑が目に飛び込んできます。
市内には、これら新倉・白子・南地区の斜面林の他にも、社寺林や屋敷林が多く残っています。又、白子川沿いの斜面や越戸川に沿った地下鉄の車庫付近、柿の木坂・漆台・坂下等、市内のあちこちに『湧き水』があり、木々の緑と共に私たちの心を和ませてくれます。  
電気、ガス、水道のない時代には、木々の緑は、夏は日光を遮り涼しさを、冬は風を防いで寒さを和らげ、枝葉は燃料や堆肥として利用され、湧き水は飲料水等の生活用水の他洗い場に見られるように農業にも利用されてきました。又、林や湧き水は多くの動植物を育んできました。
 東京都に隣接する地理的条件や交通の利便性から都市化が進んだ和光市では、緑や湧き水も都市化とともに急速に減少しています。  樹木や湧き水は、永い年月を経て育ち、湧き出します。一度失われた緑や湧水の回復は並大抵のことではありません。
 地球環境の保全が叫ばれる今、市内に残る貴重な緑や湧き水を、どうすれば保全でき、次の世代へ渡せるのか一緒に考え活動する仲間が一人でも多く集まればと思っています。


 

湧水の会の歩み    代表 高橋 絹世  
 
会報創刊にあたり会の歩みを簡単にご紹介します。略して「湧き水の会」ともいいます。  98年の7月白子の湧水
中にカワモズクが発見されたことがきっかけになりました。約10名の関心がある人達が集まり、和光市白子の湧水の保全に向けて話し合いを始めました。この白子湧水群とカワモズクについて、埼玉県の緑の推進員の地域状況報告書に記載しました。
 このことが重なり、推進員の受入先である都市整備課と市民の会(当会の名称カワモズクの会)との話し合いがもたれました。
 ここで新座の妙音沢の調査を参考にした湧水を含む自然環境調査が話し合われることになりました。和光市も湧水を含む斜面林を調査する必要性を重視し、調査に当たる市民参加のボランティアグループとして『緑と湧水と流れの会』と名前を改め、環境調査を主体とする会が発足しました。

湧水とそれを支える斜面林、地下水系などの自然環境調査は日本自然保護協会に委託されることになり、これに参加する市民の窓口として当会が当たりました。市民への呼びかけとして広報和光に毎月『湧き水のまち白子だより』を99年5月から連載し、調査の様子を知らせています。2000年度には調査報告書作成にも参加しました。これを機に調査の経験を生かした独自の活動をする当会の会則を作り活動しています。 白子湧き水親睦会・和光市民祭りへの参加・白子湧き水たんけん観察会・市内緑地めぐり・小学校環境教育のボランティア等々。 2001年度は市内全域の湧水と緑地の概要調査をしています。今年度は多くの方に親しんでいただける市内湧水緑地マップづくりも行ってます。
 さらに9月8日の映画会『センスオブワンダー』上映にあたり、当会では共催しています。これからも皆様と共に活動していきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

< お し ら せ >
どなたでも参加できます。ぜひおいで下さい


植生調査 11月26日(月) 白子コミセン 9時
水生生物 12月 8日 (土) 白子コミセン 9時半
井戸測定 11月30日(金)  和光市駅 9時半
定点観察 12月3日(月) 漆台湧水地 10時

問合せ 緑と湧水と流れの会 高橋 kinuyot@courante.plala.or.jp  

●湧き水調査の結果を踏まえて、小、中学校の総合学習にも参加しています。

● 11月21日,28日は第五小学校で湧水や斜面林の説明などをします。
                                                      ●熊野神社の紅葉
●広報和光に『湧き水のまち白子だより』を連載(環境エッセイや調査の様子)

< 湧 き 水 の 会 会 員 募 集 中>

 和光市に残された身近な自然 豊富な湧き水や緑の斜面林などを、どうすれば次の世 代に残せるか,一緒に考え、活動してみませんか。
 湧水や緑地の調査や観察会,それに親睦会や交流会なども行っています。
 会費は年間 1200円(一カ月100円)です。
ホームページ http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5558/index.htm
申込み先   緑と湧水と流れの会 高橋 kinuyot@courante.plala.or.jp

●会報「 ヴェルダ」はエスペラント語で『緑の』という意味です。 ヴェルダ・ステ−ロ『緑の星』は、エスペラント語の   シンボルとされています。


NHKテレビで放映された「湧水たんけん観察会」           
 小雨降る 6月30日朝,和光市駅前に総勢50名の「探検隊」が集まりました。「市民が身近な自然を知ろう」,「和光市の昔をしのぶ旧川越街道」,そして湧き水で入れたお茶を味わいながら「白子の自然環境調査結果の紹介」というプログラムです。
 この企画がNHKテレビで取材され、当日リポーターとカメラマンが加わり、7月11日首都圏ネットワークで放映されました。録画しましたので機会がありましたらお見せします。  

 当日各所で説明をされた方、班長さん、お手伝い下さった方、観察会に参加された方々、大変お疲れ様でした。
 観察コースは台地上の和光市駅から白子側沿いの斜面林のある「湧き水のまち白子」へのハイキング。駅からの道は、いにしえの川越街道(代官屋敷や馬頭観音、浅間神社と浅久保の稲荷など)を通り、くらやみ坂から大坂を経て白子宿へ。途中井戸調査を体験し、大坂の斜面林では手入れによって保たれる身近な自然を観察(ササや常緑低木の除去)。白子宿では、三面護岸の白子川と川越街道沿いの湧水群、緑と生物豊かな湧水の新水路を観察、等々。「自然にやさしい治水」への関心が高まりました。約1年前に駐車場工事を避けて移設した新水路には、カワモズク、ヘビトンボ、マシジミなどが住み着き、小さな動植物のオアシスになっていることから、生態系の大切さを知りました。「利き茶」では、お茶のまろやかさが違いました。  
 午後は,2年間続けてきた白子の自然環境調査の概要説明.湧水の元を成す地質,水質,水生生物,それを保つ周囲の植生など,この地の自然の釣り合いと,それを利用保全してきた歴史等が語られました。「こんな身近な自然を次の世代に残したい」、「相続税問題などによって急速に宅地化が進む現状」、「我々に何ができるのか」,参加した皆さんにそれぞれの印象が残った事と思います。  


野木実市長に面会し漆台地区の保全に関する要望書を提出しました

和光市長 野木 実 様
平成13年6月27日
緑と湧水と流れの会 代表 高橋 絹世

和光市新倉1丁目漆台地区の湧水とカタクリ群生地保全についての要望書

 当会は、平成11、12年度において、和光市白子湧水地自然環境調査を、和光市都市整備課、日本自然保護協会と協力して行ってきました。平成13年度においては、新倉1丁目漆台地区を含め、市内全域の緑地調査を進めています。漆台地区にはかっての洗い場の湧水があり、その周辺の斜面にはカタクリが自生しています。カタクリは春植物の中でもシンボル的存在であり、埼玉県では準絶滅危惧種となっています。その生育は、湧き水と深く関係しています。当漆台地区は古くから湧き水が豊富で、かっては湧水を溜めた洗い場が作られ、生活水として使われていました。現在も湧水近くには水神様が祭られ、湧水を引いた小池と小規模な洗い場があり、近隣の市民が大切に利用しています。  

 当地の調査は、今年春にカタクリとその他の春植物の分布および湧き水の状態等を、埼玉県立自然史博物館学芸員・太田和夫氏(日本自然保護協会)の指導の下に、当会が中心となって進めてきました。  
 調査地を大別すると、西側に湧水地、南東側に斜面、細い道路を隔てて北側に梅林があります(別紙調査区域図参照)。
 この南東側斜面の湧水寄りは手入れされた急斜面で、春にはカタクリが群生し美しく咲きます。東寄りの斜面はアズマネザサとクズが密生する藪状でありますが、その中にも多くのカタクリが自然の形態で多数生育し、キツネノカミソリの群落も見られます。
 また、手入れされた梅林内には、カタクリの群落と共に、他の春植物であるジロボウエンゴサクが群落を成し,付近の斜面にはニリンソウの群落も見られます。梅林内のカタクリ群落中に希少種の白花カタクリ16個体が確認されたことは特筆に価します。分布調査の結果、カタクリは当地区全体で約3000個体が確認され、これは予想をはるかに上回る群落であり、和光市周辺でも稀有のものです。なお、湧水は豊富で年間涸れることはなく,湧水流路には絶滅危惧種のウキゴケが生育しています。

 以上の調査結果は、当地区の湧水が和光市北部区域で武蔵野台地北東端を代表するものであるとともに、その周辺の春植物群は武蔵野の自然を垣間見ることのできる貴重な生態系を保っていることを示すものです。
 また、湧水地を含む斜面と梅林との間の細い坂道は、都市化によって失われつつある和光の原風景を留めるものであり,この地区を市民の身近な憩いの地域として保全・利用することは、次世代への良き遺産となることと確信します。区画整理事業に関連して、身近な自然を残すこの地が、開発と身近な自然が調和した形態で良く保全されるよう措置されることを要望します。この要望に関し、貴意を承りたくお願い申し上げます。


●「verda」会報編集グループでは、原稿を大募集しています。原稿は高橋絹世まで。メールの場合は、石川孝織: takaori@mba.sphere.ne.jp へ。写真もjpeg形式でお送りください。
●メールアドレスをお持ちの方、緑と湧水と流れの会メーリングリストへご参加ください。
お問い合わせは松本博 hiromt@m10.alpha-net.ne.jpへ。

- verda- 緑と湧水と流れの会 会報

 No.1 2001年8月29日発行  発行:緑と湧水と流れの会
 (連絡先 高橋絹世 kinuyot@courante.plala.or.jp


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